スイスの射撃祭記念コインは、美しいデザインと歴史的背景を兼ね備えた人気のアンティークコインです。
スイス文化や愛国意識を象徴する存在として、現在も世界中のコイン収集家から高い評価を集めています。
近年は、19世紀に発行された伝統的な射撃祭記念コインだけでなく、現代射撃祭を記念したコインも人気です。
この記事では、スイス射撃祭の歴史や記念コインの魅力を整理したうえで、現代射撃祭を含めた人気の金貨・銀貨を紹介します。
この記事のポイント
・現代射撃祭を含めた人気の金貨・銀貨の種類や魅力を紹介
スイス射撃祭とは?

スイス射撃祭とは、スイスで開催される伝統的な射撃大会のことです。
正式には「連邦射撃祭(Eidgenössisches Schützenfest)」と呼ばれ、1824年から続く歴史ある国民的イベントとして知られています。
市民が武器を扱う技術を磨き、有事の際に国を守るための民兵文化と深く結びついて発展しました。
スイスでは古くから国民による防衛意識が重視されていたため、射撃競技が地域文化として根付いています。
現在の射撃祭は、単なる競技大会ではなく、スポーツ・伝統文化・観光イベントとしての側面も持っています。
ライフルやピストルによる競技がおこなわれるほか、音楽イベントやパレード、地域グルメを楽しめる催しも開催され、多くの参加者や観光客が集まります。
射撃祭と記念コインの関係
スイス射撃祭では、開催を記念して特別な金貨や銀貨、メダルが発行されてきました。
これらは「射撃祭記念コイン」や「射撃ターラー(Schützentaler)」と呼ばれ、スイスを代表する記念コインとして知られています。
19世紀のスイスでは、射撃祭が国民的行事として大きな注目を集めていたことから、開催都市ごとに記念銀貨が制作されるようになりました。
コインには女性像や国章、射手の姿などがデザインされており、芸術性の高さから現在でも人気です。
また、射撃祭記念コインは単なるイベント記念品ではなく、スイスの歴史や文化を象徴する存在として評価されています。
発行枚数が少ない年代もあるため、アンティークコイン市場では高額で取引されるケースも。
近年に開催されている射撃祭でも限定コインや記念メダルが発行されることがあり、魅力的なデザインであることから注目を集めています。
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スイス射撃祭の歴史
スイス射撃祭の歴史を以下にまとめました。
| 年度 | 内容 |
| 1824年 | 近代的な射撃祭が初めて開催される |
| 1842年 | 最初の射撃祭コインが発行される |
| 1885年 | ラテン通貨同盟の影響で発行が停止 |
| 1984年 | 射撃祭のコインが復活する |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1824年:近代的な射撃祭が初めて開催される

アーラウで開催された射撃祭の様子
スイス射撃祭の歴史は古く、中世のスイスに存在していた射手組合や民兵制度にまでさかのぼります。
スイスでは古くから、市民が自ら武器を扱い、地域を守る文化が根付いていました。
そのため、射撃技術を競い合う催しは各地域でおこなわれていましたが、現在につながる近代的な「連邦射撃祭」として正式に開催されたのは1824年です。
初めての近代射撃祭は、アーラウで開催されました。
当時のスイスは、現在のように強い連邦国家としてまとまっていたわけではなく、州ごとの独立性が強い時代でした。
そのような状況のなかで、射撃祭は各州の人々が交流し、スイス人としての一体感を高める重要な役割を果たしたとされています。
19世紀のヨーロッパでは、ナポレオン戦争後の政治変化によって各国で国家意識が高まっており、スイスでも国民統合の動きが進んでいました。
射撃祭は単なる競技大会ではなく、愛国意識や結束を象徴するイベントとして発展していきます。
そのため、多くの市民が参加し、会場では射撃競技だけでなく、音楽や祝賀行事などもおこなわれるようになりました。
1842年:最初の射撃祭コインが発行される


最初に発行された射撃祭記念コイン
スイス射撃祭の人気が高まるなかで、1842年には最初期の射撃祭記念コインが発行されました。
当時のスイスでは、射撃祭が単なる競技大会ではなく、国民統合や愛国意識を象徴する重要なイベントとして位置づけられていました。
そのため、記念コインにも国家的な意味合いが込められており、開催都市やスイスを象徴するモチーフが美しく刻まれるようになります。
初期の射撃祭コインは銀貨として製造されており、現在の一般的な記念メダルとは異なり、実際の通貨に近い規格を持つものも存在しました。
コインには射手の姿や国章、スイス女性像などが描かれ、芸術性の高さから高い評価を受けています。
特に19世紀後半になると、射撃祭の規模拡大とともにコインのデザイン性も向上し、多くのコレクターを魅了する存在となりました。
発行枚数が限られていたこともあり、現存数が少ない年代のコインは、現在のアンティークコイン市場で高額取引されるケースもあります。
また、射撃祭コインは単なる記念品ではなく、スイスの歴史や文化を伝える資料的価値も持っています。
各年代のコインを比較することで、その時代の芸術様式や国家意識の変化を読み取れる点も、人気を集める理由の一つです。
1885年:ラテン通貨同盟の影響で発行が停止
1842年から発行されるようになったスイス射撃祭コインですが、その後も射撃祭は連邦射撃祭として定期的に全国大会が開催されるようになり、コインも大会にあわせて発行されるようになりました。
当時の射撃祭コインは、スイス5フラン銀貨とほぼ同じ規格で製造されていたため、実質的に通貨のように流通していました。
しかし、1865年にスイスが加盟したラテン通貨同盟では、加盟国間で貨幣の規格や発行ルールが厳格化されます。
射撃祭コインは公式な通常貨幣ではなく、同盟が認める発行枠にも含まれていなかったことから、その扱いが問題視されるようになりました。
その結果、スイス政府は1885年を最後に、連邦造幣局による射撃祭コインの発行を停止することになります。
1984年:射撃祭のコインが復活する
1885年に連邦造幣局による発行が停止されたスイス射撃祭コインですが、その後長い空白期間を経て、1984年に現代版の射撃祭記念コインが復活しました。
19世紀に発行された射撃祭コインは、美しいデザインや歴史的背景から世界中のコレクターに高く評価されており、20世紀後半になると再び注目を集めるようになります。
こうした流れを背景に、1984年には現代射撃祭を記念したコイン発行が再開されました。
復活後の射撃祭コインは、19世紀のクラシックな射撃ターラーを意識したデザインも多く、現在ではコレクション性と資産性を兼ね備えた人気シリーズとなっています。
アンティークコインとして収集されているのは、1842年から1885年までに発行された近代射撃祭シリーズの銀貨です。
一方、1984年以降に発行されたものは現代射撃祭記念コインと区別されており、モダンコインとして扱われますが、こちらもコレクターから人気を集めています。
スイスのアンティークコインはこちらの記事で紹介しています。
近代射撃祭記念コインの種類
近代に発行された射撃祭のコインを紹介します。
- スイス近代射撃祭 シュヴィーツ 5フラン銀貨 1867年
- スイス近代射撃祭 ローザンヌ 5フラン銀貨 1876年
- スイス近代射撃祭 バーゼル 5フラン銀貨 1879年
スイス近代射撃祭 シュヴィーツ 5フラン銀貨 1867年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 1867年 |
| 額面 | 5フラン |
| 直径 | 37mm |
| 発行枚数 | 8,000枚 |
| 状態 | VF |
近代に発行された射撃祭記念コインは、州ごとの地域性を取り入れたデザインが特徴です。
1867年のシュヴィーツ 5フラン銀貨の表面には、旗や銃、武器を背景にスイスの紋章と額面が描かれています。
裏面には、剣を持ちながらシュヴィーツの紋章に前脚をかけたライオンの姿がデザインされており、下部には彫刻師「A.BOVY」の名が刻まれています。
スイス近代射撃祭 ローザンヌ 5フラン銀貨 1876年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 1876年 |
| 額面 | 5フラン |
| 直径 | 37mm |
| 発行枚数 | 20,000枚 |
| 状態 | VF+ |
表面には、ローザンヌの市街景観が描かれており、当時の街並みを感じられるデザインとなっています。
裏面には、ヴォー州とスイスをそれぞれ擬人化した2人の女性が握手を交わす姿がデザインされています。
州と連邦の結束を象徴する構図であり、スイスの国家統合や連帯感を表現した意匠として高く評価されています。
スイス 近代射撃祭 バーゼル 5フラン銀貨 1879年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 1879年 |
| 額面 | 5フラン |
| 直径 | 37mm |
| 発行枚数 | 30,000枚 |
| 状態 | EF+ |
表面には、スイス22州の紋章が円形に配置され、中央にはバジリスクとバーゼルの紋章が描かれています。
裏面には、光線を背景に剣を持つ戦士の姿がデザインされており、下部には彫刻師「Durussel」の名が刻まれています。
力強さと芸術性を兼ね備えたデザインから、近代射撃祭コインを代表する人気銀貨の一つとなっています。
現代射撃祭記念コインの種類
現代射撃祭記念コインの種類を紹介します。
- スイス現代射撃祭 オーバーハスリ 50フラン銀貨 1984年
- スイス現代射撃祭 ルツェルン 500フラン金貨 2021年
- スイス現代射撃祭 ティチーノ 500フラン金貨 2025年
- スイス現代射撃祭 クール 500フラン金貨 2026年
- スイス現代射撃祭 シュタンス 1000フラン金貨 2018年
現代射撃祭 オーバーハスリ 50フラン銀貨 1984年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 1984年 |
| 額面 | 50フラン |
| 直径 | 37mm |
| 発行枚数 | 300枚 |
| 状態 | Proof FDC |
スイス 現代射撃祭 50フラン銀貨 1984は、現代射撃祭シリーズの最初の一枚として発行された記念銀貨です。
1885年に途絶えていた射撃祭コイン文化を復活させた記念的な存在として知られています。
発行地は、スイスの小さな村であるオーバーハスリで、ここから現代射撃祭コインシリーズが再びスタートしました。
デザインには、スイスの英雄として有名なウィリアム・テルが採用されており、スイス射撃文化を象徴する一枚となっています。
肖像部分にはフロスト加工が施されており、立体感と重厚感のある美しい仕上がりとなっています。
スイス現代射撃祭 ルツェルン 500フラン金貨 2021年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 2021年 |
| 額面 | 500フラン |
| 直径 | 33mm |
| 発行枚数 | 150枚 |
| 状態 | PF69UCAM |
2020年の連邦射撃祭は、ルツェルンで開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって2021年へ延期されました。
そのため、コイン表面には「ルツェルン州の射撃祭2020」を意味するドイツ語表記と、実際の発行年である「2021」が刻印されています。
表面には、美しい女性像が描かれており、現代射撃祭シリーズのなかでも特に完成度が高いデザインとして評価されています。
裏面には、盾を抱えながら横たわるライオンが描かれています。
これはルツェルンに実在する有名な石像「嘆きのライオン」をモチーフにしたデザインで、フランス革命時に命を落としたスイス傭兵を追悼する意味が込められています。
ライオンが抱える盾はブルボン朝の紋章であり、背景にはスイスの紋章盾が配置されています。
本コインは「ピエフォー」と呼ばれる厚手仕様で製造されている点も特徴です。
通常版より発行枚数が少なく、希少性の高いコレクターズコインとして注目されています。
スイス現代射撃祭 ティチーノ 500フラン金貨 2025年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 2025年 |
| 額面 | 500フラン |
| 直径 | 33mm |
| 発行枚数 | 150枚 |
| 状態 | PF70UCAM |
表面には、スイスを象徴する寓意的存在であるヘルヴェティアの横顔が描かれており、その左側には力強さや勇気、権威を象徴するライオンが配置されています。
裏面には、1814年のティチーノ州4フラン銀貨に描かれていた武装兵士のデザインをほぼ忠実に再現した意匠が採用されています。
両側にはスイスの盾が描かれ、歴史的な射撃祭コイン文化を受け継ぐデザインとなっています。
スイス現代射撃祭 クール 500フラン金貨 2026年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 2026年 |
| 額面 | 500フラン |
| 直径 | 33mm |
| 発行枚数 | 150枚 |
| 状態 | Proof FDC |
開催地であるクールは、約5,000年の歴史を持つスイス最古の都市として知られています。
アルプスに囲まれた美しい景観と、多文化が交差する独特の地域性を持ち、サンモリッツやダヴォスへの玄関口としても有名です。
表面には、右手に矢を持つスイスの英雄ウィリアム・テルの半身像が力強く描かれています。
周囲にはイタリア語・ロマンシュ語・フランス語の3言語で「クール射撃祭」を意味する銘文が刻まれており、多言語国家であるスイスの文化的特徴を表現したデザインとなっています。
裏面には、スイスを象徴する女神ヘルヴェティアと、開催地クールの紋章に由来するヤギが描かれています。
また、ドイツ語で「祭典会場にて換金可能」を意味する文言も刻まれており、歴史的な射撃祭コイン文化を受け継ぐ意匠となっています。
スイス現代射撃祭 シュタンス 1000フラン金貨 2018年


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | スイス |
| 発行年 | 2018年 |
| 額面 | 1000フラン |
| 直径 | 35mm |
| 発行枚数 | 25枚 |
| 状態 | PF70 UCAM |
2018年版は、シュタンスで開催された射撃祭を記念して発行されました。
遠景にアルプス山脈とシュタンスの街並みが描かれ、その手前にはスイスの象徴である女神ヘルヴェティアがライフル銃と優勝者へ贈られる月桂冠を持つ姿がデザインされています。
1000フラン金貨は発行枚数が25枚と非常に少なく希少性が高いです。
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射撃祭記念コインに関するよくある質問
射撃祭記念コインに関するよくある質問を以下にまとめました。
- 射撃祭記念コインはなぜ人気がある?
- 射撃祭コインの価格は今後上がる可能性はある?
- 射撃祭コインはどこで購入できる?
それぞれ詳しく解説します。
射撃祭記念コインはなぜ人気がある?
スイスの射撃祭の記念コインは、歴史的背景と芸術性を兼ね備えている点から高い人気を集めています。
州ごとの紋章や女神ヘルヴェティアなどの女性像が描かれており、美しいデザインが魅力です。
スイス文化や歴史を反映したコインとして評価されており、アンティークコイン市場でも世界的に人気があります。
射撃祭コインの価格は今後上がる可能性はある?
射撃祭コインは発行枚数が限られているものが多く、人気デザインや希少年は価格が上昇する可能性があります。
特に近代射撃祭シリーズは現存数が少ないため、一部のコインはアンティークコイン市場でも高い評価を受けています。
また、近年は現代射撃祭コインも発行枚数の少ないコインに注目が集まっており、コレクター需要の拡大によって価値が見直される可能性があるでしょう。
射撃祭コインはどこで購入できる?
射撃祭コインは、アンティークコイン専門店や海外オークションなどで購入できます。
専門店で購入することは、真贋や保存状態を確認しながら安心して選びやすい点がメリットです。
射撃祭コインを取り扱う専門店には、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
近代射撃祭から現代射撃祭まで幅広く取り扱っています。
まとめ
スイス射撃祭記念コインは、スイスの歴史や文化、国家意識を反映した特別なコインシリーズです。
近代射撃祭と現代射撃祭では異なる魅力があり、どちらも発行枚数が少なく希少性の高いコインもあるため、コレクターから人気があります。
射撃祭記念コインはさまざまな種類があるため、自身が魅力的に感じるコインを見つけやすいことからおすすめになります。