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公開日 2026.10.1更新日 2026.10.1

芸術を愛した英国王 ジョージ4世 5ポンド金貨の意匠と歴史を解説!

ジョージ4世 5ポンド金貨は、芸術や建築を愛したジョージ4世の治世下で、1826年に発行された英国金貨です。

ジョージ4世は、国王に即位する前に摂政王太子として国政を担い、華やかなリージェンシー文化の発展に大きな影響を与えた人物として知られています。

表面にはウィリアム・ワイオンが手がけた国王の肖像、裏面にはジャン・バティスト・メルレンによる英国王室の紋章が描かれています。

英国を代表する彫刻家による優れた意匠と、現存数の限られた希少性が魅力です。

この記事では、ジョージ4世 5ポンド金貨が発行された歴史的背景やデザインを解説し、価値や希少性、購入できる場所を紹介します。

この記事のポイント

・摂政王太子から国王となり、英国の芸術や建築に影響を与えたジョージ4世の歴史を解説
・ジョージ4世 5ポンド金貨のデザインや希少性、価値を左右する要素を紹介

ジョージ4世 5ポンド金貨の概要

概要 内容
発行国 イギリス
発行年 1826年
額面 5ポンド
デザイナー(表面) ウィリアム・ワイオン(William Wyon)
表面 ジョージ4世の左向き肖像
刻印(表面) GEORGIUS IV DEI GRATIA
1826
デザイナー(裏面) ジャン・バティスト・メルレン(Jean Baptiste Merlen)
裏面 王冠とマントで飾られた英国王室の紋章
刻印(裏面) BRITANNIARUM REX FID: DEF:
直径 36mm
重量 39.94g
発行枚数 150枚
品位 916.7/1000金
状態 Proof EF(Edge Flaw)

ジョージ4世 5ポンド金貨は、イギリス国王ジョージ4世の肖像を刻んだ大型金貨であり、1826年に発行された希少なプルーフ金貨です。

表面には、王冠を着けていないジョージ4世の左向き肖像が描かれています。

肖像の周囲には、神の恩寵によるジョージ4世を意味するラテン語の称号が刻まれ、首元の下には発行年の1826が配置されています。

肖像を手がけたのは、英国王立造幣局を代表する彫刻家の一人であるウィリアム・ワイオンです。

彫刻家フランシス・レガット・チャントリーが制作した胸像をもとに、ジョージ4世の風格を写実的に表現しています。

一方、裏面には王冠を載せた英国王室の紋章が、豪華なマントに包まれた姿で描かれています。

裏面のデザインを手がけたのは、フランス出身の彫刻家ジャン・バティスト・メルレンです。

王室の威厳を示す紋章やマントの細部まで、精巧に表現されています。

ジョージ4世 5ポンド金貨は一般流通用ではなく、1826年のプルーフセットに収録する目的で製造されました。

発行枚数はわずか150枚とされており、ジョージ4世の治世を代表する希少な英国金貨として評価されています。

また、今回紹介するコインには、製造時のエラーと考えられる欠損がエッジ部分に見られます。

グレーディング会社によっては傷や摩耗と判断される可能性がありますが、コイン全体の状態は良好です。

製造時に生じた特徴であれば、同じ状態のコインは限られるため、かえって個体としての希少性を高める要素になります。

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華麗なる摂政から国王へ ジョージ4世の生涯

ジョージ4世の生涯を、以下のエピソードに分けて紹介します。

  • 父ジョージ3世との対立と華やかな生活
  • 父に代わって国政を担った摂政時代
  • ジョージ4世の即位と豪華な戴冠式
  • 芸術と建築を愛した国王が残した功績
  • 王位継承問題と弟ウィリアム4世への継承

それぞれ詳しく見ていきましょう。

父ジョージ3世との対立と華やかな生活

左の子どもがジョージ4世、母シャーロット王妃とフレデリック王子

ジョージ4世は、1762年8月12日に国王ジョージ3世とシャーロット王妃の長男として誕生し、ジョージと名付けられました。

王位継承者として育てられたジョージは、語学や芸術など幅広い教育を受け、若い頃から優れた教養と洗練された趣味を身につけていきます。

しかし、厳格で質素な生活を重んじる父ジョージ3世に対し、ジョージは華やかな社交界やぜいたくな暮らしを好みました。

生活に対する考え方の違いに加え、政治的な立場も異なっていたため、親子関係は次第に悪化していきます。

ジョージは父と対立するホイッグ党の政治家と親しく交流し、国王の意向に反する行動を取ることもありました。

また、豪華な衣装や美術品、建築、宴会などに多額の資金を費やし、莫大な借金を抱えます。

ロンドンのカールトン・ハウスを豪華に改装したほか、後にロイヤル・パビリオンとなるブライトンの別邸にも資金を投じました。

1785年には、カトリック教徒の未亡人マリア・フィッツハーバートと秘密裏に結婚します。

しかし、国王の同意を得ていなかったことなどから、法律上有効な結婚とは認められませんでした。

こうした生活や行動は父との対立を深める原因となりましたが、ジョージの芸術に対する深い関心は、建築や室内装飾、服飾などの発展にも影響を与えました。

後にリージェンシー様式と呼ばれる華やかな文化を形成するうえで、重要な役割を果たしています。

父に代わって国政を担った摂政時代

摂政時代の肖像

1810年、父ジョージ3世は病状が悪化し、国王としての職務を続けることが困難になります。

これを受けて摂政法が成立し、ジョージは1811年にプリンス・リージェントとして国政を担うことになりました。

この摂政時代をきっかけに、後にリージェンシー時代と呼ばれる華やかな時代が始まります。

ジョージは皇太子時代にホイッグ党の政治家と親しくしていたため、政権交代を期待する声もありました。

しかし、摂政に就任した後は父のもとで政権を担っていた閣僚を引き続き起用します。

当時のイギリスは、フランス皇帝ナポレオンとの戦争を続けていました。

1815年のワーテルローの戦いでナポレオンが敗れると、長年にわたる戦争は終結し、イギリスはヨーロッパにおける影響力を強めていきます。

一方で、戦争による財政負担や物価の上昇などから、国内では生活に苦しむ人々が増加しました。

これに対してジョージは華やかな生活を続けていたため、国民から批判を受けることもありました。

ジョージは政治そのものに積極的に関わるよりも、芸術や建築、社交に強い関心を示した人物です。

摂政時代にはロイヤル・パビリオンの改築を進めるなど、建築や装飾文化の発展に大きな影響を与えました。

1820年にジョージ3世が亡くなると、ジョージはジョージ4世として国王に即位します。

約9年間にわたる摂政としての経験を経て、正式にイギリスの王位を継承しました。

ジョージ4世の即位と豪華な戴冠式

戴冠式の様子

1820年1月29日に父ジョージ3世が亡くなると、摂政王太子として国政を担っていたジョージは、57歳でジョージ4世として即位しました。

しかし、即位後は、長年別居していた妻キャロラインとの関係が大きな問題となります。

ジョージ4世はキャロラインとの離婚を望み、王妃としての地位を剥奪しようとしましたが、議会や国民から強い反発を受けました。

キャロラインを支持する世論が広がり、国王の私生活にも厳しい目が向けられるようになります。

ジョージ4世の戴冠式は、即位から約1年半後の1821年7月19日にウェストミンスター寺院で執りおこなわれました。

式典には約23万ポンドという当時としては莫大な費用が投じられ、豪華な衣装や装飾、大規模な行列によって王室の威厳が示されました。

1万2,000個を超えるダイヤモンドを用いた王冠も新たに製作され、ジョージ4世の美意識と華やかな趣味を象徴する戴冠式となります。

一方、キャロラインは王妃として戴冠式への出席を求めましたが、ジョージ4世の命令によってウェストミンスター寺院への入場を拒まれました。

複数の入口から入場を試みたものの認められず、この出来事は国王夫妻の深刻な対立を印象づけました。

ジョージ4世の戴冠式は、英国王室史上でも特に豪華な式典の一つとして知られています。

その華やかさは国王の権威を示す一方で、ぜいたくな生活を続けるジョージ4世に対する批判をさらに強めることにもなりました。

芸術と建築を愛した国王が残した功績

ジョージ4世の時代に建てられたロイヤル・パビリオン

ジョージ4世は、政治的な評価が分かれる一方で、芸術や建築に深い関心を持った国王として知られています。

絵画や彫刻、家具、陶磁器、宝飾品などを幅広く収集し、優れた芸術家や職人を積極的に支援しました。

ジョージ4世が集めた数多くの作品は、現在の英国王室が所有するロイヤル・コレクションの重要な一部となっています。

建築の分野では、建築家ジョン・ナッシュを重用しました。

ロンドンでは、リージェント・ストリートやリージェンツ・パークの整備が進められ、都市の景観に大きな変化をもたらします。

また、ブライトンにあった別邸を、インドや中国の建築様式を取り入れたロイヤル・パビリオンへと改築しました。

異国的で華やかな外観と内装は、ジョージ4世の個性的な美意識を象徴しています。

国王への即位後は、バッキンガム・ハウスを王宮へ改築する大規模な工事を開始しました。

現在のバッキンガム宮殿は後の時代にも改修されていますが、王宮として整備する基礎を築いたのはジョージ4世です。

さらに、ウィンザー城の改修にも取り組み、中世の城を思わせる壮麗な姿へと変化させました。

工事には多額の費用がかかり、当時は批判も受けましたが、現在まで続く英国王室の象徴的な景観を形づくっています。

ジョージ4世の華やかな趣味は、ぜいたくや浪費として批判されることもありました。

一方で、その芸術への情熱によって多くの文化財や建築物が残されたことから、英国の芸術文化に大きな影響を与えた国王といえるでしょう。

王位継承問題と弟ウィリアム4世への継承

ジョージ4世の後継となるウィリアム4世

ジョージ4世と王妃キャロラインの間には、1796年に一人娘のシャーロット王女が誕生しました。

国民から高い人気を集めたシャーロット王女は、ジョージ4世に続く王位継承者として期待されていました。

1816年にはザクセン=コーブルク=ザールフェルト公子レオポルドと結婚し、王室の未来を担う存在となります。

しかし、シャーロット王女は1817年、死産の末に21歳で亡くなりました。

ジョージ3世の嫡出の孫がいなくなったことで、英国王室は深刻な王位継承問題に直面します。

王位を継ぐ子孫を残すため、ジョージ4世の弟たちは相次いで結婚しました。

その一人であるケント公エドワードと妻ヴィクトリアの間には、後にヴィクトリア女王となるアレクサンドリナ・ヴィクトリアが誕生しています。

ジョージ4世は晩年になると健康状態が悪化し、公の場に姿を見せる機会も少なくなりました。

そして、1830年6月26日にウィンザー城で67歳の生涯を閉じます。

ジョージ4世には存命の嫡出子がいなかったうえ、弟のヨーク公フレデリックもすでに亡くなっていたため、王位は次弟のクラレンス公ウィリアムに引き継がれました。

即位したウィリアム4世にも王位を継承できる嫡出子が残っていなかったことから、1837年の死後は姪のヴィクトリアが王位を継承します。

ジョージ4世の時代に表面化した王位継承問題は、ヴィクトリア女王の即位によって新たな時代へつながりました。

ウィリアム4世についてはこちら記事で詳しく紹介しています。

ウィリアム4世とは? 船乗り王と呼ばれた庶民派の国王の歴史とコインを紹介

英国王室の金貨で受け継がれる「セントジョージの竜退治」

概要 内容
発行国 イギリス
発行年 1823年
額面 2ポンド
デザイナー(表面) ジャン・バティスト・メルレン(Jean Baptiste Merlen)
表面 ジョージ4世の左向き肖像
刻印(表面) GEORGIUS IIII D:G: BRITANNIAR: REX F:D:
デザイナー(裏面) ベネデット・ピストルッチ(Benedetto Pistrucci)
裏面 馬に乗って竜を退治する聖ジョージ
刻印(裏面) 1823
B.P.
直径 28.4mm
重量 15.98g
発行枚数 発行枚数不明
品位 916.7/1000金
状態 AU/UNC
グレード MS62

ジョージ4世は、優れた芸術家の才能を見いだし、その活動を支援したことでも知られています。

その一人が、英国金貨を代表する意匠「セントジョージの竜退治」を手がけた、イタリア出身の彫刻家ベネデット・ピストルッチです。

ジョージ4世は摂政王太子だった時代にピストルッチをイタリアから招き、その才能を高く評価しました。

ピストルッチは英国王立造幣局で彫刻家として活躍し、1817年にセントジョージの竜退治をデザインします。

この意匠は1823年のジョージ4世 2ポンド金貨にも採用され、その後も歴代君主のソブリン金貨などに受け継がれてきました。

ジョージ4世が芸術家を支援したことは、建築物や美術品だけではなく、現在も英国金貨を象徴する意匠として残っています。

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ジョージ4世の5ポンド金貨に関するよくある質問

コインライブラリー・プリンシパル

ジョージ4世の5ポンド金貨に関するよくある質問をまとめました。

  • ジョージ4世 5ポンド金貨はなぜ希少?
  • ジョージ4世 5ポンド金貨の価値を左右する要素は?
  • ジョージ4世 5ポンド金貨を購入・売却できる場所は?

それぞれ詳しく見ていきましょう

ジョージ4世 5ポンド金貨はなぜ希少?

ジョージ4世 5ポンド金貨は、1826年のプルーフセットに収録する目的で製造されたコインであり、一般流通用として大量に発行されたものではありません。

発行枚数はわずか150枚とされ、製造から約200年が経過しているため、良好な状態で現存する個体は限られています。

ジョージ4世の肖像を手がけたウィリアム・ワイオンと、英国王室の紋章をデザインしたジャン・バティスト・メルレンという、著名な彫刻家による意匠も魅力です。

発行枚数の少なさに加え、歴史的背景と芸術性を兼ね備えていることから、英国金貨のなかでも希少性の高いコインとして評価されています。

ジョージ4世 5ポンド金貨の価値を左右する要素は?

ジョージ4世 5ポンド金貨の価値は、保存状態や鑑定機関によるグレード、発行枚数、市場での需要などによって変わります。

特に、肖像や紋章の細部が鮮明に残っている個体や、鏡面の輝きが保たれている個体は、高く評価される傾向があります。

過去の所有歴やオークションでの取引記録が明確であることも、価値を判断する重要な要素です。

ジョージ4世 5ポンド金貨を購入・売却できる場所は?

ジョージ4世 5ポンド金貨は発行枚数が非常に少ないです。

購入する場合は、英国アンティークコインに詳しく、鑑定済みのコインを取り扱う専門店を選ぶことが重要です。

商品の来歴や鑑定結果、返品条件なども事前に確認しましょう。

「コインライブラリー・プリンシパル」では、ジョージ4世 5ポンド金貨をはじめとする希少なイギリス金貨を取り扱っています。

在庫は常に変動するため、希望するコインが見つからない場合はお問合せください。

また、イギリス金貨の売却を検討している場合も、アンティークコインの価値を適切に判断できる専門店への依頼が重要です。

「コインライブラリー・プリンシパル」ではアンティークコインの買取も対応しているため、保有するコインの価値を知りたい場合にも相談できます。

まとめ

ジョージ4世は、ぜいたくな生活で批判を受ける一方、芸術家への支援や建築事業を通じて、英国文化の発展に大きな影響を与えました。

1826年の5ポンド金貨は、発行枚数がわずか150枚とされる希少なプルーフ金貨です。

ウィリアム・ワイオンによる国王の肖像と、ジャン・バティスト・メルレンによる英国王室の紋章からは、当時の優れた彫刻技術とジョージ4世の美意識を感じられます。

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この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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